大阪・関西万博でも注目を集めたエジプト。2027年5月にセルビアで開幕する「Expo 2027 Belgrade(ベオグラード万博)」でも、その新たな展示構想が明らかになりました。
2026年10月2日、ベオグラード万博主催者は、エジプト館について、古代から受け継がれる豊かな文明遺産と現代エジプトを、建築・音楽・芸術・博物館的コンテンツを通じて結びつける方針を発表しました。
エジプトといえば、2025年11月には長年にわたり建設が進められてきた「大エジプト博物館(Grand Egyptian Museum)」が正式に開館。日本のJICAも、建設や文化財の保存修復、博物館運営などに深く協力してきました。
さらに、過去には2035年国際博覧会(Expo 2035)の開催を検討する動きも報じられています。
大阪からベオグラード、そしてその先へ。
この記事では、エジプト館の最新展示構想に加え、大エジプト博物館と日本の協力関係、2035年万博の開催構想まで紹介します。
※本記事は2026年10月19日時点の公開情報をもとに作成しています。
ベオグラード万博2027、エジプト館の展示構想が明らかに!
2026年10月1日〜3日、セルビアのベオグラードでは、各国の政府代表や技術担当者が参加する「Technical Preparation Meeting(技術準備会議)」が開催されました。
その2日目となる10月2日、エジプト政府代表のAlaa El-Bialy氏が、エジプト館の展示構想を説明しました。
今回、公式に紹介された表現手段は以下の4つです。
| 展示要素 | 構想の方向性 |
| 建築 | エジプトの文明遺産と現代性をつなぐ |
| 音楽 | エジプトの豊かな文化を伝える |
| 芸術 | 歴史と現代の対話を生み出す |
| 博物館的コンテンツ | 長い歴史の中で育まれた文化遺産を紹介する |
エジプト政府代表は、遺産と現代、歴史と未来、伝統と革新の間に対話を生み出したいという趣旨を説明しています。
ピラミッドやファラオなどの古代文明を紹介するだけでなく、現代のエジプトが持つ文化や創造性にも目を向けた展示となりそうです。
公式ソース: Expo 2027 Belgrade|技術準備会議2日目の発表(2026年10月2日)
エジプト館の準備も着実に進行
同じ10月2日には、セルビア政府もエジプト政府代表および駐セルビア・エジプト大使との会談を公表しました。
会談では、エジプトの万博参加に向けた準備状況や今後の作業工程、技術面・組織運営面の調整などについて協議されています。
展示コンセプトだけでなく、パビリオンの実現に向けた具体的な準備も進められていることが分かります。
なお、現時点ではエジプト館の完成予想図、具体的な展示物、設計・運営会社、スタッフ募集などの詳細は、今回確認した公式資料では公表されていません。
公式ソース: セルビア国内外貿易省|エジプト政府代表との会談(2026年10月2日)
2025年、大エジプト博物館がついに正式開館!
エジプトの文化発信を語るうえで欠かせないのが、ギザのピラミッド近郊に建設された「大エジプト博物館(Grand Egyptian Museum:GEM)」です。
長年にわたる準備期間を経て、2025年11月1日に公式開館式典が開催され、11月4日に一般公開が始まりました。
単一の文明を扱う博物館としては世界最大規模を誇り、ツタンカーメン王の副葬品をはじめとする古代エジプトの貴重な文化財を展示しています。
単に古代の遺物を収蔵するだけでなく、文化財の保存修復や研究、教育、観光振興など、多面的な役割を担う施設です。
2027年のベオグラード万博でエジプトが「博物館的コンテンツ」を展示構想に掲げていることも、こうした近年の文化発信の動きと重ねて見ると興味深いですね。
ただし、大エジプト博物館の展示物をベオグラードへ持ち込むことが発表されたわけではありません。両者のつながりは、現時点ではエジプトの文化発信という観点からの紹介です。
大エジプト博物館には日本のJICAも長年協力
この大エジプト博物館の実現には、日本も深く関わっています。
国際協力機構(JICA)は2006年から、円借款による建設支援に加え、文化財の保存・修復、展示、博物館運営など、さまざまな分野で協力してきました。
JICAによる主な協力
| 分野 | 協力内容 |
| 建設・設備 | 円借款による博物館建設などの支援 |
| 保存・修復 | 貴重な文化財の保存修復に関する技術協力 |
| 人材育成 | エジプトの保存修復専門家の能力向上 |
| 展示・運営 | 展示準備や博物館運営に関する協力 |
| 研究体制 | 保存修復・科学研究の拠点化に向けた支援 |
JICAの公式資料によると、博物館建設に関連する円借款は、2008年と2016年の2件で合計842億円に上ります。
また、日本の専門家とエジプト側の保存修復担当者が協力し、ツタンカーメン王の墓から発見された文化財などの保存修復にも取り組んできました。
2025年11月1日の公式開館式典には、JICAの田中明彦理事長も出席。エジプトのエルシーシ大統領から、日本の支援に対する感謝が表明されました。
大エジプト博物館は、エジプトの新たな観光・文化拠点であると同時に、長年にわたる日本とエジプトの国際協力を象徴するプロジェクトでもあります。
公式ソース:
開館後も続く日本とエジプトの協力
さらにJICAは、2025年4月30日、大エジプト博物館庁との間で、新たな技術協力プロジェクトに関する討議議事録に署名しました。
これは、大エジプト博物館を中東・北アフリカ地域における保存修復・科学研究の中心的な拠点へと発展させるための取り組みです。
計画では、調査研究や文化財の管理、国内外の文化遺産関連機関に対する研修機能の強化などを目指しています。
つまり、博物館が完成して終わりではなく、開館後も日本とエジプトの協力関係は続いていくのです。
公式ソース: JICA|大エジプト博物館保存修復・科学研究国際拠点化プロジェクト
大阪・関西万博からベオグラードへ。エジプトの文化発信は続く
大阪・関西万博のエジプト館は、「モダンエジプト 受け継ぎ、紡ぎ、未来へ」をテーマに出展しました。
そして2025年には、大エジプト博物館が正式開館。
続く2027年のベオグラード万博では、建築・音楽・芸術・博物館的コンテンツを通じて、古代文明と現代エジプトをつなぐ展示構想が示されています。
これらを並べてみると、エジプトが自国の長い歴史を大切にしながら、現代の姿や未来への可能性を世界に伝えようとしていることがうかがえます。
ベオグラード万博のテーマは「Play for Humanity – Sport and Music for All(人類のための遊び ― スポーツと音楽をすべての人へ)」。
エジプト館が音楽や芸術をどのように展示へ取り入れるのか、今後の発表にも注目したいですね。
▶ ベオグラード万博2027|最新情報・日本館・海外パビリオンまとめ
さらに2035年へ?エジプトには万博の開催構想も
エジプトの万博への取り組みには、もう一つ注目したい話題があります。
それが、2035年国際博覧会(Expo 2035)の開催構想です。
2022年5月、エジプトの現地メディアは、政府が新行政首都(New Administrative Capital)で2035年万博を開催する可能性について検討していると報じました。
ただし、これは当時の検討段階の情報です。2026年10月19日時点で、エジプトによるBIEへの正式立候補が確認されたという意味ではありません。
大阪・関西万博への参加、大エジプト博物館の開館、ベオグラード万博への出展。
そして、将来的な万博開催の可能性。
エジプトが今後、どのような形で自国の文化や未来像を世界へ発信していくのか、引き続き注目していきたいところです。
▶ リヤドの次の万博はどこ?Expo 2035の開催候補とエジプトの招致構想
▶ 2035年の万博はエジプトかも?古代文明から現代の国家プロジェクトまでを紹介【note】
まとめ|2027年のエジプト館は、歴史と未来をつなぐ展示に期待!
2027年のベオグラード万博に向けて、エジプト館の展示構想が少しずつ明らかになってきました。
今回発表されたのは、古代文明と現代エジプトを、建築・音楽・芸術・博物館的コンテンツを通じて結びつけるという方向性です。
2025年には大エジプト博物館も正式開館し、日本のJICAとの長年の協力関係にも改めて注目が集まりました。
古代文明の魅力だけでなく、現代エジプトの創造性や、これからの文化発信を知る機会にもなりそうです。
今後、エジプト館の完成予想図や具体的な展示内容、運営体制などが発表され次第、この記事も更新していきます。
主な参考資料
- Expo 2027 Belgrade|技術準備会議2日目(2026年10月2日)
- セルビア国内外貿易省|エジプト政府代表との会談
- JICA|大エジプト博物館の公式開館式典に関する発表
- JICA|大エジプト博物館への協力概要
- JICA|保存修復・科学研究国際拠点化プロジェクト
- Egypt Today|2035年万博の開催検討に関する報道(2022年)
※2026年10月19日時点の公開情報をもとに作成。展示構想と、未発表の具体的な展示内容・将来の開催構想は区別して記載しています。


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