Beyond Limitsとは?大阪・関西万博から横浜園芸博・ベオグラード万博へ広がる万博プロジェクト

ベオグラード万博 EXPO 2027

大阪・関西万博が閉幕しても、万博に関わった企業や人々の仕事がそこで終わるわけではありません。

2027年には、日本でGREEN×EXPO 2027(横浜国際園芸博覧会)、セルビアではExpo 2027 Belgrade(ベオグラード万博)が開催されます。

この2つの国際博覧会を調べていく中で、何度も名前を目にする企業のひとつがBeyond Limits(ビヨンド・リミッツ)です。

Beyond Limitsは大阪・関西万博で複数の海外パビリオンの建設、プロジェクトマネジメント、運営、イベントなどに関わり、その経験を2027年の横浜、そしてベオグラードへとつなげようとしています。

今回は、Beyond LimitsとCEOのMichele Salgarello(ミケーレ・サルガレッロ)氏による公式発表を中心に、同社の大阪・関西万博での実績と、GREEN×EXPO 2027、Expo 2027 Belgradeで始まっている新しいプロジェクトを整理します。

Beyond Limitsとは?

Beyond Limitsは、国際博覧会を中心に、パビリオンの建設やプロジェクトマネジメント、運営、イベント・プログラムなどを手掛ける企業です。

公式サイトでは業務を、

  • PRE-EXPO:パビリオン建設・展示
  • DURING EXPO:パビリオン運営・イベント/プログラム
  • POST-EXPO:解体・レガシー

まで一貫して扱う体制として紹介しています。(Expo Beyond Limits)

同社はミラノ2015、アスタナ2017、ドバイ2020、大阪2025と複数の国際博覧会に参加してきました。

現在の公式サイトには、ドバイ、横浜、マドリード、マイアミ、ボゴタに加えて、セルビア・ベオグラードにも拠点が掲載されています。横浜拠点についても「Greater Yokohama Area」として神奈川県海老名市の拠点が掲載されています。(Expo Beyond Limits)

つまりBeyond Limitsは、すでに2027年に向けて日本とセルビアの両方に事業基盤を置いていることになります。

大阪・関西万博では18パビリオンに関与

Beyond Limitsの大阪・関西万博での活動規模はかなり大きなものでした。

CEOのMichele Salgarello氏は万博開幕時、Beyond Limitsが建設・展示・運営を合わせ18のパビリオンプロジェクトに関わったと公表しています。

さらに会期中には、サウジアラビア、フランス、イギリス、ブラジル、コロンビアなど5つのパビリオンで、スタッフ、イベント、サービスなどを含む運営業務にも関わるとしていました。(LinkedIn)

Beyond Limits公式サイトの大阪万博ポートフォリオにも、

  • セルビア館
  • イタリア館
  • ベルギー館
  • スペイン館
  • モンテネグロ館
  • パナマ館
  • サンマリノ館
  • モザンビーク館
  • ウルグアイ館
  • チュニジア館
  • ペルー館
  • スロベニア館

など、多数のプロジェクトが掲載されています。(Expo Beyond Limits)

ただし、Beyond Limitsの役割はすべてのパビリオンで同じではありません。

建設、PMC(Project Management Consultancy)、展示、運営、イベントなど、国やプロジェクトによって担当範囲が異なります。

イタリア・ベルギー・セルビア・スペイン・サウジアラビア館

Michele Salgarello氏は大阪万博でBeyond Limitsが関わった代表的な5つのナショナルパビリオンとして、

スペイン、イタリア、ベルギー、セルビア、サウジアラビア

を挙げています。

そのうち役割が明確に公表されているものでは、

パビリオンBeyond Limitsの主な役割
ベルギー館Full PMC
セルビア館General Contractor / PMC
サウジアラビア館Events / Programming / Logistics / Operations
イタリア館パビリオンプロジェクトに参画
スペイン館パビリオンプロジェクトに参画

となっています。(LinkedIn)

ベルギー館についてはBeyond Limits公式サイトでも、Project Managementを同社が担当したことが確認できます。(Expo Beyond Limits)

つまりBeyond Limitsは「パビリオンを建てる会社」というだけではありません。

建設からプロジェクト管理、スタッフ、イベント、運営まで、万博の裏側を横断的に支える企業という方が実態に近いでしょう。

サウジアラビア館ではイベント・運営にも深く関与

特に注目したいのがサウジアラビア館です。

Beyond LimitsはTHA Staffingとともに、サウジアラビア館のイベント、プログラミング、物流、運営に携わりました。

Michele氏による発表では、Saudi Vision 2030 Forum、Saudi National Day、Saudi Japan Expo Investment Forumなどにも関与。

Beyond LimitsとTHAのチームによるサウジアラビア館のプログラムは、6か月間で約1,800イベント規模になるとしていました。(LinkedIn)

大阪万博でサウジアラビア側との大規模なイベント運営を経験したことは、今後のExpo 2030 Riyadhを見るうえでも興味深い実績です。

ただし、2026年8月現在、Beyond Limitsがリヤド万博の特定パビリオンや業務を受注したという公式発表までは確認できていません。

大阪万博の経験が2027年へ

大阪万博終了後、Beyond Limitsは2027年へ動き始めています。

2026年のEventex Awardsでは、大阪万博関連プロジェクトで10の賞を受賞。

Michele Salgarello氏自身もBest Execution DirectorのPlatinum Award、Best Production DirectorのGold Awardを受賞しました。

その発表の中でBeyond Limitsは、

GREEN×EXPO Yokohama 2027

そして

EXPO 2027 Belgrade

を「次の章」と位置づけています。(LinkedIn)

大阪万博で構築したチームやノウハウが、そのまま次の国際博覧会へ移り始めていることが分かります。

GREEN×EXPO 2027ではフィリピン館を受注

横浜で開催されるGREEN×EXPO 2027では、すでに具体的なプロジェクトが発表されています。

フィリピン農業省は2026年8月5日、GREEN×EXPO 2027におけるフィリピン参加のTurnkey Vendor(ターンキーベンダー)としてBEYOND LIMITS K.K.を選定したことを正式発表しました。

契約額は、

68,805,600.87フィリピンペソ

です。(農業省公式ポータル)

ターンキー方式では、ひとつの事業者が設計、施工、展示など複数工程を包括的に担うケースがあります。

実際にどこまでBeyond Limitsが直接担当するのか、またパビリオン運営やスタッフ採用をどの企業が担うのかについては、今後の発表を確認する必要があります。

ただ、大阪万博で多数の海外パビリオンを経験したBeyond Limitsが、大阪から横浜へと日本国内で万博プロジェクトを継続していることは注目すべきポイントです。

ベオグラード万博ではモナコ館へ

もうひとつの2027年プロジェクトが、セルビアで開催されるExpo 2027 Belgradeです。

モナコ館は、パビリオンのシーノグラフィー(空間演出・展示構成)を担当する企業としてBeyond Limitsを選定したことを公式に発表しました。(‏LinkedIn)

Beyond Limits側の発表では、同社がコンソーシアムをリードし、

  • General Contracting
  • PMO
  • Technical Coordination
  • Delivery

などの専門性を提供しながら、モナコ館のDesign & Build全体を支援するとしています。

コンソーシアムにはGalerija 12 Future Media Studio、circle x square、Think.greenなども参加しています。(LinkedIn)

大阪万博からベオグラード万博への流れという意味でも興味深い案件です。

さらにBeyond Limitsはすでにセルビアで、プロジェクトマネジメントやクリエイティブ・デザイン系人材などの採用活動を行い、「パビリオンを通じて来場者体験をつくるための multidisciplinary teams を構築している」と発信しています。(LinkedIn)

今後、モナコ館以外のプロジェクトが発表される可能性についても注目したいところです。

実はBeyond Limitsとモナコの関係は今回が初めてではない

Beyond Limitsの公式ポートフォリオを遡ると、Expo 2017 Astanaのモナコ館も同社の実績として掲載されています。(Expo Beyond Limits)

つまり今回のベオグラード万博モナコ館は、Beyond Limitsにとってモナコとの最初の万博プロジェクトではありません。

同じ国や組織との関係が、別の万博へとつながっていく。

これも万博業界ならではの特徴と言えるでしょう。

大阪から横浜とベオグラードへ。「万博のレガシー」は人と企業にも続いていく

万博のレガシーというと、建築物や技術、展示などをイメージすることが多いかもしれません。

しかしBeyond Limitsの動きを見ていると、別のレガシーも見えてきます。

企業、人材、運営ノウハウ、パートナーシップが次の万博へ移っていくことです。

大阪・関西万博では、イタリア、ベルギー、セルビア、スペイン、サウジアラビアなど多数の海外パビリオンに関与。

そして2027年には、

日本・横浜 → フィリピン館

セルビア・ベオグラード → モナコ館

という新しいプロジェクトがすでに動き始めています。(農業省公式ポータル)

さらにMichele Salgarello氏の現在のプロフィールには、

Milan 2015 → Astana 2017 → Dubai 2020 → Osaka 2025 → Yokohama 2027 → Belgrade 2027 → Riyadh 2030

というExpoの流れが掲げられています。(LinkedIn)

同氏も2026年の発信で、ベオグラードと横浜がBeyond Limitsにとって新しい章を開き、Expo 2030 Riyadhがその先にあることを示しています。(LinkedIn)

リヤド万博について具体的な受注内容はまだ公表されていません。

それでも、大阪で培われたネットワークと経験が横浜・ベオグラードへと受け継がれ、その先にリヤドが見えているという流れは非常に興味深いものです。

2027年の2つの国際博覧会では、パビリオンそのものだけでなく、「大阪万博に関わった企業や人々が次にどこで活躍するのか」という視点から見てみるのも面白いかもしれません。

Beyond Limitsの今後のプロジェクト、そして横浜・ベオグラードでの海外パビリオン運営や求人情報についても、引き続き確認していきます。

※本記事はBeyond Limits、Michele Salgarello氏、フィリピン農業省、Pavillon Monacoなどが公表している情報をもとに、2026年8月24日時点で整理しています。

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