2027年5月15日から8月15日までセルビア・ベオグラードで開催される「EXPO 2027 Belgrade(ベオグラード国際博覧会)」。
中東諸国のパビリオン情報はまだ限られていますが、その中でサウジアラビア館が大きく動き始めています。
2026年9月、セルビア側から新たに明らかになったのは、サウジアラビアがベオグラード万博で「最大級の国家パビリオンの一つ」を展開するという情報です。
しかもサウジアラビアの出展は、単に2027年のベオグラード万博に参加するだけではありません。
2025年の大阪・関西万博、2027年のベオグラード、そして自国で開催する2030年リヤド万博(Expo 2030 Riyadh)へとつながる、大きな万博戦略の途中に位置しています。
現時点で判明しているサウジアラビア館の情報を整理します。

サウジアラビア館は「最大級」の国家パビリオンに
2026年9月2日、セルビアの国内・外国貿易相でEXPO 2027コミッショナー・ジェネラルを務めるJagoda Lazarević氏は、サウジアラビアのWaleed El Khereiji副外相とベオグラードで会談しました。
会談ではエネルギー、ICT、先端技術、農業、食品産業、投資など両国間の経済協力に加え、EXPO 2027 BelgradeとExpo 2030 Riyadhについても話し合われました。
その中で、サウジアラビアについて、
EXPO 2027 Belgradeで「最大級の国家パビリオンの一つ」を展開する
ことが改めて伝えられています。 (tanjug.rs)
重要なのは、この「最大級」という表現が9月になって突然出てきたものではないことです。
2026年6月23日にも、セルビアのSiniša Mali第一副首相兼財務相がExpo 2030 Riyadhの関係者と会談した際、サウジアラビア側からベオグラード万博で最大級のパビリオンの一つを展開するとの確認を得たと発言しています。 (tanjug.rs)
つまり、少なくとも2026年6月の段階から、大型パビリオンとして計画が進められていたことになります。
なお、現時点では正確な敷地面積や延床面積は発表されていません。「最大のパビリオン」と断定するのではなく、公式発言に沿って「最大級の国家パビリオンの一つ」と捉えるのが適切です。
すでに「計画」から「実施」段階へ
サウジアラビアは2026年4月19日、EXPO 2027 Belgradeへの参加契約を正式に締結しました。
サウジ通信社(SPA)は、この契約締結について、サウジアラビアの参加準備が「planning(計画)」から「full implementation(本格的な実施)」へ移行する重要な節目だと伝えています。 (السعودية)
サウジアラビア側のセクション・コミッショナーを務めるのは、同国の経済企画省で国際経済を担当するRakan Tarabzoni氏です。
Tarabzoni氏は、ベオグラード万博でサウジアラビアが「Play=遊び」をどのように表現するのかについても、かなり具体的な方向性を示しています。
スポーツ・音楽・デジタルクリエイティビティが中心に
EXPO 2027 Belgradeのテーマは、
「Play for Humanity: Sport and Music for All」
(人類のための遊び:すべての人にスポーツと音楽を)
です。
サウジアラビア館では、この「Play」を単なる娯楽としてではなく、人々に機会を生み出し、人と人をつなぎ、未来を生み出す力として表現する方針です。
サウジアラビア側が公式に挙げている要素には、スポーツ、音楽、デジタルクリエイティビティ、文化、クリエイティブ産業などがあります。
また、パビリオン体験についても「participatory(参加型)」かつ「welcoming(誰もが入りやすい)」ものを目指すことが示されています。 (السعودية)
これは近年のサウジアラビアがVision 2030の中で力を入れている、スポーツ、文化、エンターテインメント、クリエイティブ産業の成長とも重なる内容です。
そのためベオグラードのサウジアラビア館は、伝統文化を紹介するだけでなく、「現在進行形で変化しているサウジアラビア」を体験型展示として紹介する可能性が高そうです。
EXPO 2027には「13の個別パビリオン」も計画
EXPO 2027 Belgradeでは、多数の参加国を収容するため、国際参加者向けに大規模なパビリオン整備が進められています。
2026年6月にEXPO 2027運営会社が発表した計画では、
| パビリオン形式 | 計画 |
| 共同パビリオンのクラスター | 8 |
| 個別パビリオン | 13 |
とされています。 (エキスポ2027)
現時点では、サウジアラビア館がこの「13の個別パビリオン」の一つに該当するのか、どの区画になるのかについて公式発表は確認できていません。
ただ、「最大級の国家パビリオンの一つ」と繰り返し表現されていることを考えると、一般的な参加国展示とは異なるかなり大規模な出展になる可能性が高いとみてよさそうです。
正確な面積、配置、建築デザインについては続報を待ちたいところです。
制作側でもサウジアラビア館プロジェクトが動き始める
さらに興味深い動きも確認できます。
万博パビリオンの建設・PMO・運営などを手掛けるBeyond Limitsのスタッフが2026年8月、LinkedIn上で、
「Saudi Arabia Pavilion at EXPO 2027 Belgrade」
のDocument Controller / Schedulerとして新たに業務を開始したことを公表しています。
その投稿にはBeyond Limits CEOのMichele Salgarello氏も「Welcome to the team!」とコメントしています。 (LinkedIn)
ただし、ここは注意が必要です。
現時点でサウジアラビア政府やEXPO 2027運営側から、「Beyond Limitsがサウジアラビア館を正式受注した」とする発表は確認できていません。
そのため、正式な施工・運営事業者として断定することはできません。
一方で、公開されている人員情報を見る限り、少なくともサウジアラビア館に関連するプロジェクトチームが実務レベルで動き始めていることを示す情報として注目できます。
大阪・関西万博のサウジ館ともつながるBeyond Limits
Beyond Limitsとサウジアラビア館の関係は、ベオグラードから始まったものではありません。
同社は大阪・関西万博2025のサウジアラビア館でも、THAとともにイベント・プログラム、ロジスティクス、オペレーション、スタッフ関連など幅広い業務に携わったと公表しています。 (LinkedIn)
大阪ではサウジアラビア館を中心に、万博期間を通じて非常に多くの文化イベントやプログラムが展開されました。
そのため、ベオグラードでも制作・運営面で大阪2025の経験がどのように引き継がれるのかは注目ポイントになりそうです。
▶︎Beyond Limitsとは?大阪・関西万博から横浜園芸博・ベオグラード万博へ広がる万博プロジェクト
ベオグラード2027は「リヤド2030の予行演習」でもある?
そして、サウジアラビア館を考えるうえで最も重要なのがExpo 2030 Riyadhとの関係です。
2026年6月23日、EXPO 2027 BelgradeとExpo 2030 Riyadhの運営組織は、知識・経験・ベストプラクティスを共有する正式な協力協定を締結しました。 (エキスポ2027)
協力分野には、
- ガバナンス
- 会場開発
- 参加国マネジメント
- 運営準備
- デジタルシステム
- 視察・オブザーバープログラム
- 万博後のレガシー
などが含まれています。
つまり、リヤド2030の運営チームがベオグラード2027の準備や本番から実務的なノウハウを吸収する仕組みが、正式に作られています。 (エキスポ2027)
セルビアのMali副首相も、サウジアラビアがベオグラードに大型パビリオンを展開する理由について、2030年の自国開催を前に世界へ適切に自国を発信することが重要だからだとの見方を示しています。 (tanjug.rs)
その意味では、サウジアラビア館は単なる海外パビリオンというより、
大阪2025 → ベオグラード2027 → リヤド2030
という万博の流れをつなぐ重要なパビリオンになる可能性があります。
現時点で分かっていること・まだ分からないこと
| 項目 | 2026年9月時点 |
| EXPO 2027への参加 | 正式契約済み |
| 規模 | 「最大級の国家パビリオンの一つ」 |
| セクション・コミッショナー | Rakan Tarabzoni氏 |
| 基本的な展示方向性 | 発表済み |
| スポーツ | 展示・体験の主要要素 |
| 音楽 | 展示・体験の主要要素 |
| デジタルクリエイティビティ | 展示方針として言及 |
| Vision 2030との関連 | 明確に言及 |
| リヤド万博2030との連携 | 正式協定あり |
| Beyond Limitsの関与 | 関連スタッフの公開情報あり |
| パビリオン面積 | 未発表 |
| 建築家・設計者 | 未発表 |
| 外観パース | 未発表 |
| 正式な独自館テーマ・名称 | 未発表 |
| 詳細な展示内容 | 未発表 |
まとめ|中東パビリオンではサウジ館が一歩先行
中東諸国のEXPO 2027 Belgradeパビリオンについては、まだ参加表明段階の国も多く、外観や展示内容まで分かっているケースは限られています。
その中でサウジアラビアは、
参加契約 → 展示ビジョン → 最大級パビリオンの計画 → 実務チームの動き → リヤド2030との連携
まで進んでおり、中東勢ではかなり具体的に準備が進んでいる国の一つです。
一方、外観デザインや正確な面積、建築家、詳細な展示内容についてはまだ発表されていません。
大阪・関西万博2025でも高い存在感を示したサウジアラビア。
その次の舞台となるベオグラードではどのようなパビリオンを作り、さらにその経験を2030年のリヤドへどうつなげていくのでしょうか。
今後、外観パースや建築チームなど新しい情報が発表され次第、本記事でも随時更新していきます。
※本記事はEXPO 2027 Belgrade公式、Saudi Press Agency(SPA)、BIE、セルビア政府関係者の発表、および公開されている関係企業・スタッフの情報をもとに整理しています。未発表の建築デザインや展示内容については推測で断定していません。



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