【横浜園芸博(花博)】GREEN×EXPO 2027 カタール館まとめ|「The Flourishing Fareej」の建築・展示内容・最新情報

横浜園芸博

2027年3月19日から9月26日まで、横浜市で開催されるGREEN×EXPO 2027(2027年国際園芸博覧会/横浜園芸博)

世界各国の出展内容が少しずつ明らかになる中、中東のパビリオンとして注目したいのがカタールです。

カタールは、GREEN×EXPO 2027の前回にあたるA1クラスの国際園芸博覧会「Expo 2023 Doha」の開催国。

さらに2025年には、GREEN×EXPO 2027で日本と公式参加契約を締結した最初の国となりました。

そしてカタール館のデザインとして採用されたのが、

「The Flourishing Fareej」

です。

カタールの伝統的な「Fareej(ファリージュ)」と呼ばれる近隣共同体・街区の考え方を現代的に再解釈し、建築・自然・コミュニティを融合させるパビリオンが計画されています。

2026年6月には、設計・建設から会期中の運営、維持管理、撤去までを含む実施契約も締結されました。

この記事では、カタール通信(QNA)、在日カタール大使館、GREEN×EXPO 2027公式情報などをもとに、カタール館の建築、4つの展示空間、設計者、展示テーマ、Expo 2023 Dohaとのつながりまで詳しく紹介します。

GREEN×EXPO 2027 カタール館の概要

項目内容
カタール国
博覧会GREEN×EXPO 2027
会期2027年3月19日~9月26日
会場旧上瀬谷通信施設(横浜市)
デザインThe Flourishing Fareej
基本コンセプトカタールの伝統的なFareejを現代的に再解釈
主な構成The Beginning / The Roots / The Growth / The Bloom
デザイン原案カタール大学の学生によるコンペ最優秀案
実施会社Studio Dodici
主なテーマサステナビリティ、食料安全保障、資源管理、イノベーション、都市開発など

カタール館は単にカタールの文化や観光を紹介する施設ではなく、伝統的な建築文化と、カタールが現在進めている持続可能な都市・社会づくりを一つの空間で表現するパビリオンになりそうです。

カタールは「前回の国際園芸博」開催国

GREEN×EXPO 2027におけるカタールを理解するうえで重要なのが、Expo 2023 Doha(ドーハ国際園芸博覧会)です。

2023年10月2日から2024年3月28日まで、カタールの首都ドーハではA1クラスの国際園芸博覧会が開催されました。

つまり、

Expo 2023 Doha 🇶🇦

GREEN×EXPO 2027 Yokohama
🇯🇵

という関係になります。

在日カタール大使館も、カタールの参加契約締結について、Expo 2023 Dohaの成功を経て博覧会の旗を日本へ引き継ぐものと位置付けています。

また、Expo 2023 Dohaで事務局長を務めたファイカ・アシュカナニ氏は、GREEN×EXPO 2027ではカタール出展の陳列区域政府委員代理を務めています。

2025年2月には横浜を訪れ、GREEN×EXPO 2027の会場予定地を視察。博覧会協会幹部との会談や、出展に向けた実務的な意見交換も行われました。

前回開催国としての経験が、横浜でどのように表現されるのかも注目したいポイントです。

GREEN×EXPO 2027で最初に参加契約を締結

カタールの力の入れ方が分かる出来事がもう一つあります。

2025年5月14日、カタールは日本とのGREEN×EXPO 2027公式参加契約を締結しました。

在日カタール大使館によると、開催国である日本と参加契約を正式に締結した最初の国がカタールです。

単なる参加表明から一歩進んで、早い段階から横浜への出展準備を進めてきた国の一つと言えるでしょう。

カタール館「The Flourishing Fareej」とは?

カタール館のデザインタイトルは、

The Flourishing Fareej

です。

「Flourishing」には、繁栄する、花開く、豊かに育つといった意味があります。

そして重要なのが「Fareej」です。

Fareejは、カタールの伝統的な近隣共同体・街区を表す考え方です。

カタール館では、この伝統的なFareejをそのまま再現するのではなく、現代的に再解釈。

建築 × 自然 × コミュニティ

をシームレスにつなぐ空間として表現します。

園芸博という舞台で、カタールの伝統的な暮らしと植物、現代的な都市づくりを結びつけるというわけです。

デザインには「ムシェイレブ」の建築思想

「The Flourishing Fareej」のもう一つの特徴が、Msheireb(ムシェイレブ)の建築言語から着想を得ていることです。

カタールの首都ドーハには、伝統的なカタール建築の考え方と現代的な都市計画・サステナビリティを融合した「Msheireb Downtown Doha」があります。

今回のカタール館も、カタールの建築的アイデンティティを残しながら、最新のサステナビリティ基準や都市計画の考え方を取り入れる設計思想となっています。

さらに横浜の気候条件も考慮。

カタールらしさをそのまま日本へ持ち込むのではなく、横浜という開催地に適応させながら、カタールの建築文化を表現することが目指されています。

カタール館は4つの空間で構成

カタール館の来場体験は、大きく4つの主要なパビリオン/空間で構成されます。

1.The Beginning ― 始まり

最初の空間が「The Beginning」

カタールという国、文化、自然、そして今回の展示へと来場者を導く「始まり」の空間と考えられます。

2.The Roots ― 根

続いて「The Roots」

「Roots=根」という名称からも、カタールの伝統や文化的ルーツを象徴する重要な空間になりそうです。

3.The Growth ― 成長

3つ目は「The Growth」

伝統から現代へと発展してきたカタールの成長や、サステナビリティ、都市開発などとの関係にも注目です。

4.The Bloom ― 開花

最後が「The Bloom」

BeginningからRoots、Growthを経て、最終的に「Bloom=花開く」という構成です。

Beginning → Roots → Growth → Bloom

という一連の流れそのものが、植物の成長を連想させます。

国際園芸博覧会のパビリオンとして非常に分かりやすく、同時にカタールという国の発展も重ね合わせられる構成です。

QNAは、この4つの主要空間に加え、カタール固有の植物や樹木も来場体験に取り入れるとしています。

サステナビリティや食料安全保障も紹介

カタール館で紹介されるのは、伝統文化だけではありません。

実施契約締結時の発表では、

サステナビリティ
食料安全保障
持続可能な資源管理
イノベーション
都市開発

などにおけるカタールの取り組みを紹介するとされています。

特にカタールは、国土の大部分が乾燥した砂漠気候です。

そうした環境の中で、どのように植物を育て、食料を確保し、限られた資源を持続可能に利用していくのか。

これは「園芸」という枠を超えて、気候変動や未来の都市生活を考える展示にもつながりそうです。

前回のExpo 2023 Dohaを開催した経験が、横浜の展示にどう生かされるのかにも注目です。

カタール大学の学生によるデザインを正式採用

そして今回のカタール館で非常に興味深いのが、デザインが決まるまでの過程です。

カタール館のデザインは、カタール自治省、カタール大学、Msheireb Propertiesによる全国的なデザインコンペを通じて選ばれました。

参加したのは、カタール大学College of EngineeringのDepartment of Architecture and Urban Planningに所属する40人の女子学生

その中から1位となった学生のデザインコンセプトが、実際のカタール館のベースとして採用されました。

これは単なる学生コンペではありません。

選ばれたアイデアが国を代表して国際博覧会に出展する実際のパビリオンへと発展している点が特徴的です。

若い建築人材の育成と、国際舞台での実践を結びつけたプロジェクトでもあります。

「GREEN×EXPO 2027 カタール館の実施契約とデザイン概要(出典:Qatar News Agency)
Qatar signs contract for implementation of pavilion at International Horticultural Expo 2027 Yokohama
QNA TokyoQatar has signed the contract for its pav…

2026年、いよいよ実施フェーズへ

デザインが選ばれただけではありません。

2026年6月13日、カタールはGREEN×EXPO 2027カタール館の実施契約を締結しました。

契約を担当するのは、Studio Dodici

契約には、

設計
建設
運営
維持管理
撤去

までが含まれています。

つまり、カタール館は現在、コンセプトを検討している段階ではなく、計画・デザインを経て、実際のパビリオンを実現するフェーズへ移行していることになります。

Expo 2023 Dohaから横浜へ

カタール館を見るうえで、やはり外せないのがExpo 2023 Dohaとの関係です。

前回開催国だったカタールから、次の開催国である日本へ。

そして横浜では、カタール自身が海外出展者として参加します。

2023–2024 Expo 2023 Doha 🇶🇦

2025 Expo 2025 Osaka, Kansai
🇯🇵

2027 GREEN×EXPO 2027 Yokohama
🇯🇵

カタールはこの数年間、国際博覧会への参加を続けています。

大阪・関西万博では、隈研吾氏が手掛けたカタール館が、伝統的なダウ船や海との関係を建築として表現しました。

一方、横浜ではFareej、植物、コミュニティ、サステナビリティが中心になります。

同じカタールでも、博覧会ごとに異なる側面を見せているのが興味深いところです。

※大阪・関西万博のカタール館やExpo 2023 Dohaについては、K-WayYesの関連記事でも詳しく紹介しています。

▶【関連記事】Expo 2023 Dohaから大阪・横浜へ|カタールと万博の歩み

中東の注目パビリオンになりそう

GREEN×EXPO 2027には、中東からも複数の国が参加を表明しています。

2026年8月現在、公表されている参加国には、カタールのほか、ヨルダン、シリア、イエメンなども含まれています。

その中でもカタールは、

・前回のA1国際園芸博開催国
・GREEN×EXPO 2027参加契約第1号
・独自のパビリオンデザインを発表済み
・4つの展示空間を公表
・実施契約まで締結済み

と、かなり具体的な準備状況が見えている国です。

現段階では各国の敷地面積などを横並びで比較できないため、「中東最大のパビリオン」と断定することはできません。

ただ、公開されている計画を見る限り、中東勢を代表する注目パビリオンの一つになる可能性は十分にありそうです。

まとめ|「The Flourishing Fareej」が横浜に

GREEN×EXPO 2027のカタール館は、

「The Flourishing Fareej」

というコンセプトのもと、カタールの伝統的な近隣共同体「Fareej」を現代的に再解釈します。

さらに、

The Beginning
The Roots
The Growth
The Bloom

という4つの空間を巡りながら、カタールの文化、自然、発展、サステナビリティなどを体験できるパビリオンが計画されています。

前回の国際園芸博覧会を開催したカタールが、今度は一参加国として横浜へ。

「Expo 2023 DohaからGREEN×EXPO 2027 Yokohamaへ」

という博覧会のバトンを象徴するパビリオンとしても注目したいところです。

K-WayYesでは今後も、カタール館の建設状況、展示内容、イベント、運営情報など、新たな公式情報が発表され次第更新していきます。

参考・出典

  • Qatar News Agency|カタール館「The Flourishing Fareej」実施契約・展示構成⁠
  • Qatar News Agency|カタール館デザイン選定発表⁠
  • GREEN×EXPO 2027公式|カタール関係者による会場視察⁠
  • 在日カタール大使館|GREEN×EXPO 2027参加契約⁠
  • GREEN×EXPO 2027公式サイト⁠

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