はじめに
「日本でアラビア語が書かれた服なんて、一体誰が着るの? 本当に売れるの?」
この記事のタイトルを見て、そう思われた方も多いかもしれません。
実は、他ならぬ私自身が一番そう思っていました。
「ニッチすぎるかもしれない」「誰の目にも留まらず、ただの自己満足で終わるかも…」
そんな不安を抱えながらも、頭から離れなかったアイデアを形にし、おそるおそるSNS(ThreadsやHelloTalk)に試作品の画像をアップしてみたのです。
すると——私の予想を遥かに超える、温かく、そして熱い反響が寄せられました。
「いいね」や応援コメントだけでなく、日本国内、そして遠く離れたアラブ諸国の人々からも熱いメッセージが届いたのです。画面を見つめながら胸が熱くなると同時に、私の中で確信が生まれました。
「もしかしたら、アラビア語をもっと身近にするヒントが、ここにあるのかもしれない」
今回は、なぜ一人のアラビア語学習者が「アパレル立ち上げ」という挑戦を始めたのか、その背景にある想いと、デザインに込めた“人生のストーリー”をお伝えします!
第1章:人生の濃密な時間は、いつもアラビア語と共にあった
振り返ってみれば、私の社会人としてのキャリアは、常にアラビア語やアラブ世界と共にありました。
大学卒業後の就職浪人時代にアラビア語の圧倒的な美しさに魅了されて以来、その情熱は冷めることなく私を遠くへ連れていってくれました。
- JICA海外協力隊としての草の根の活動
- ドバイ万博・大阪関西万博の現場での国際交流業務
- 33歳での一念発起:さらなる学びを求めて飛び込んだオマーン留学(SQCA/DIWAN)
客観的に見れば「なぜそんなにアラビア語ばかり?」と思われるかもしれません。
しかし私にとって、人生で最も心を動かされた瞬間の隣には、いつもアラビア語の豊かな響きと、旅人を家族のように温かく迎えてくれるアラブの人々の笑顔がありました。
いつしか私の胸には、「日本とアラブ世界の架け橋になりたい」という強いビジョンが芽生えていたのです。

第2章:「遠い」「難しい」の壁——日本で直面した大きなギャップ
しかし、日本に帰国するたびに直面したのが、日本におけるアラビア語の「距離感」でした。
大型書店へ行けば、英語や韓国語、中国語の教材がズラリと並ぶ中、アラビア語の参考書は棚の隅にひっそりと数冊あるのみ。
さらに、多くの人が持つアラビア語のイメージは、
- 「文字がミミズみたいで解読不能」
- 「右から左に読むなんて意味が分からない」
- 「ニュースの向こう側の、なんだか怖くて遠い世界」
といった、高いハードルや偏ったフィルターを通したものがほとんどでした。
💡 私が知っている“本当のアラブ”を伝えたい 私が実際に現地で肌で感じてきたアラブ世界は、そんなステレオタイプとは真逆の**「息をのむほど魅力的で温かい世界」**です。
エキゾチックな音楽、スパイス香る豊かな料理、お調子者で情に厚い人々、そして何より何百年もの歴史の中で洗練されてきた芸術的な文字デザイン。
この素晴らしい文化が、「文字の難しさ」という壁のせいで誰にも届かないのは、あまりにももったいないと感じていました。
第3章:「勉強」ではなく「ファッション(日常)」として溶け込ませたい
世界中のアパレルを見渡すと、「NEW YORK」「PARIS」「BROOKLYN」といった英文字がプリントされたTシャツを、誰もが当たり前におしゃれに着こなしています。
着ている人の多くは、その街に住んだことがなくても、完璧な英語を話せなくても、「デザインが格好いいから」という直感で身につけています。言葉が「勉強の対象」ではなく、「日常の風景」になっているのです。
「じゃあ、これがアラビア語だったらどうだろう?」
もし今の日本の街中でアラビア語の服を着ていたら、「えっ、なんて書いてあるの?」「宗教的な意味?」「難しそう…」と身構えられてしまうかもしれません。
私は、その「身構えてしまう文化」を変えてみたいと思いました。
言葉を「勉強しなければいけないもの」と捉えるとハードルが上がります。でも、お気に入りのおしゃれな服として取り入れるなら、誰でも今日から始められる。
まずは「デザインが可愛い・格好いい」という直感から入る。意味を知るのは、そのずっと後でもいい。そんな“新しい入り口”を作りたかったのです。
第4章:デザインに込めた、人生を救ってくれた「アラビアの知恵」
今回デザインするにあたり、アラビア文字の伝統的なカリグラフィー(スルス体など)の流麗な曲線や、現代的な建築の幾何学パターン、そして私がオマーンの地で見てきた美しい景色(砂漠の稜線、沈む夕日、ナツメヤシの葉)をモダンなグラフィックに落とし込みました。

そして、ファーストコレクションの核として選んだのが、私の人生を何度も暗闇から救ってくれた特別なアラビア語のことわざです。
كل تأخيرة وفيها خيرة
(クッル・タアヒーラ・ワ・フィーハー・ハイラ)
💬 「すべての遅れには、その遅れなりの善き計らい(良いこと)がある」
周りの友人がストレートにキャリアを重ねる中、自分だけが遠回りをしているように感じたとき。30代を過ぎてからオマーン留学を決め、焦りや不安に押しつぶされそうになったとき。
「焦らなくていい。その遅れには必ず意味があり、先には良いことが待っている」というアラブの知恵が、私の心をどれほど軽くしてくれたか分かりません。
この温かいメッセージを流麗な文字デザインにのせ、身に纏う人自身のお守りになるような、そして「それ、どういう意味?」と会話が生まれるような服を作りました。
第5章:SNSでの奇跡と、未完成な「最初の一歩」
不安で震えながらThreadsに試作品の画像を投稿したあの日。
画面を開くと、想像を超える「いいね」や「すごく素敵!」「発売を楽しみにしています!」という熱いコメントが次々と届きました。
教科書を開かなくても、一枚の服(デザイン)を通して人と人はこんなにも繋がれるのだと深く実感した瞬間でした。

🛒 オンラインショップ「K-WayYes」オープン!
まだ大規模な資金も倉庫もない個人プロジェクトです。だからこそ、注文を受けてから1点ずつ作られるクリエイター支援プラットフォーム「SUZURI(スズリ)」にて、無駄な廃棄を出さない持続可能な形でショップをスタートさせました!
ショップ名は「K-WayYes(クワイエス)」。
アラビア語の方言で「Good(素晴らしい)」を意味する「كويس」と、未来へ向かう正しい道「Way to Yes」の想いを掛け合わせています。
- 🔗 [K-WayYes 公式オンラインショップ(SUZURI)はこちら]

最終章:私が作りたいのは「服」ではなく「新しい文化の入り口」
最後に、私が一番伝えたいことがあります。
私は、単にアパレルメーカーとして服を大量に売りたいわけではありません。
本当に作りたいのは、「アラビア語が日本の日常に溶け込んでいる景色」であり、「新しい世界への入り口」です。
このTシャツを着て街を歩いたとき、日本にいるアラブの人が見て故郷を思い出して笑顔になるかもしれない。いつか中東を旅したとき、現地の人が「あ!それアラビア語だね!」と話しかけてくれるかもしれない。
「今日の服、アラビア語なんだよね」
そんな会話が日本の日常でカジュアルに交わされる未来。想像するだけでワクワクしてきませんか?
私の挑戦は、まだ始まったばかりの小さな未完成のストーリーです。これからも学びやブランド構築の裏側をリアルタイムで発信していきますので、ぜひ一緒にこの挑戦を見守っていただけたら嬉しいです!



コメント